ベンチャーの特許よもやま話(1話)

わが社は、日本・韓国・中国・米国にて触覚センサーに関連する特許を取得しています。「小さな企業でありながら、海外を含めて、よく4か国も特許を取得しておられますね」、「特許を取得しても、管理や費用が大変でしょう」、「果たして、1つの特許で効果はあるのですか」しばしばお話をいただく通り、小さなベンチャー企業にとってはいずれも大変なコストのかかる作業です。

今回のコラムは連載コラムの第1話目です。です。全4話に分けて「特許の登録までの道のり」、「ひとつの特許でいかにして戦うかという取り組みの方法」、「委託する協力会社とWin-Winを築く手法」、「米国特許の英語表現の難しさ」等の、ベンチャー企業の特許に関連する”よもやま話”を掲載します。第1話では、特許登録までの道のりのよもやま話にお付き合いください。

2005年に当社を創業する以前のことです。特許のアイデアを持って、大阪の某I特許事務所を訪れました。私は以前の会社の在職中に50件以上の特許を出願しており、特許登録に至ったものも20件近くになります。1つのアイデアで起業をめざし、かなり詳しい明細書を作ったうえで相談に行きました。相談の目的は、特許請求範囲を見ていただくことと、他の特許に抵触しないかどうかを確認いただくことでした。

特許事務所の所長へご相談すること約10分。私は
「君のようなベンチャー企業のアイデアは何万とみてきたが、成功したものはひとつもない。やめたほうがよい。私は1時間で5万円の相談料をもらっているが、どうしますか」
と言われました。あまりの話であったため
「私は、1時間で10万円の価値を生み出せます」
とお話すると、
「いやな奴とは飯も食いたくない!」
と。「(今に見ていろ)」、と思いながら事務所をあとにしてきました。

その足でもう1社の特許事務所にお伺いしたところ、先ほどの事務所とは全く違い、快くご相談に応じていただくことができました。また「ベンチャー企業の特許出願にはこのような制度を利用できます」と、優遇制度についてもご説明いただき、特許費用も大幅に割引をしていただきました。この一日のできごとは、7年以上経った今でも忘れられない経験です(現在も、当社の特許はこの特許事務所様に管理していただいています)。

このように志を抱いて起業を計画するも、不安になるもの。しかし、一滴のしずくでも、何回もぶつかり、岩をも削る水となり、多くの水が合流して大海にそそぎます。たとえ1人でも、1つのアイデアでもあきらめず、岩を砕く意思を持ち、ともに進む多くの仲間と、多くのアイデアを創造し、大海を目指そうと心に誓っている。

(次回、連載第2話では、1つの特許で戦う当社の工夫・取り組みについて掲載します。)