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日本の特許文書:特許第3727642

発行日:平成17年12月14日(2005.12.14)
登録日:平成17年10月7日(2005.10.7)
出願番号:特願2004-244301(P2004-244301)
出願日:平成16年8月24日(2004.8.24)
審査請求日:平成17年2月1日(2005.2.1)
特許権者:504322574 森元賢一
代理人:100061745 弁理士・安田敏雄
発案者:森元賢一
審査官:松浦久夫 発明の名称:触覚センサ及び触覚センサ応用装置

特許請求の範囲

請求項1

シート面に沿うX方向及びY方向に抵抗を有するシートであって、シートの厚み方向と一致するZ方向に抵抗を有すると共に厚み方向の押圧に対応してZ方向の抵抗が変化する感圧抵抗シート(4) を備え、この感圧抵抗シート(4) の周辺部に、前記X方向の抵抗又はY方向の抵抗の少なくとも一方に電流を流すための電極部(9,10,11,12) が少なくとも一対設けられ、感圧抵抗シート(4) の表面に、前記Z方向の抵抗に電流を流すための導電体(5,6) が少なくとも一対設けられていることを特徴とする触覚センサ。

請求項2

前記電極部(9,10,11,12)及び導電体(5,6)のいずれか1つから電流を流し、残りの電極部(9,10,11,12)又は導電体(5,6)から電流を取り出すときに、前記少なくとも一対の電極部(9,10,11,12)の電圧(V9,V10,V11,V12)と、前記少なくとも一対の導電体(5,6) の電圧(V5,V6)との組み合わせから、接触圧と、X方向の接触位置又はY方向の接触位置の少なくとも一方の接触位置とを求めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の触覚センサ。

請求項3

前記電極部(9,10,11,12)及び導電体(5,6)のいずれか1つから電流を流し、残りの電極部(9,10,11,12)又は導電体(5,6)から電流を取り出すときに、前記少なくとも一対の電極部(9,10,11,12)の電圧(V9,V10,V11,V12)を触覚センサへの接触前と、触覚センサへの接触時との電圧差を、前記求めた接触圧と接触位置とに対応した値に補正して、X方向の接触長さ又はY方向の接触長さの少なくとも一方の接触長さを求めるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の触覚センサ。

請求項4

シート面に沿う方向に抵抗を有するシートであって、シートの厚み方向に抵抗を有すると共に厚み方向の押圧に対応して厚み方向の抵抗が変化する感圧抵抗シート(4)を備え、感圧抵抗シート(4)への接触圧、接触位置、接触長さのうち少なくとも2つを求める べく、感圧抵抗シート(4)に電流を流すようにし、前記感圧抵抗シート(4)は、数キロオームから数10メガオームの表面抵抗をもったカーボン入りポリエチレンフィルムで構成されていることを特徴とする触覚センサ。

請求項5

前記感圧抵抗シート(4)は、数キロオームから数10メガオームの表面抵抗をもったカーボン入りポリエチレンフィルムで構成されていることを特徴とするに請求項1記載の触覚センサ。

請求項6

請求項1に記載の触覚センサ(3)が装着された被制御装置(1)と、前記感圧抵抗シート(4)に電位勾配を発生させる電源(15)と、前記電極部(9,10,11,12)及び前記一対の導電体(5,6)の出力電圧をデジタル値に変換するA/D変換器(25)とを備え、前記A/D変換器(25)からのデジタル信号を入力して、前記触覚センサ(3)への接触圧、接触位置、X方向及び/又はY方向の接触長さのうち少なくとも2つを求め、この求めた接触圧、接触位置、接触長さに基づいて前記被制御装置(1)を制御する制御部(27)を備えることを特徴とする触覚センサ応用装置。

発明の詳細な説明

技術分野
0001

本発明は、圧力位置の入力情報検出及び制御に関し、接触座標、接触圧力及び接触長さを簡単な方法で検出する触覚センサ及びその触覚センサを使用した触覚センサ応用装置に関するものである。

背景技術
0002

従来の圧力位置検出センサは、圧力分布を検出するものがほとんどで、X,Yマトリックス上に配置されたセンサもしくは、電極を走査して圧力分布を検出し、圧力の位置を算出していた(例えば特許文献1、特許文献2)。しかし、圧力のかかっているすべての位置をX,Y走査するため、必要な情報である圧力の重心位置や圧力の面積、平均圧力を算出するのに時間を有していた。たとえば、分解能1mmの50X50mmのセンサを100MHzで走査しても1素子あたり25μseCかかることになる。さらに、これらの走査線(50X50)に対する配線(2500本)は、大きなセンサになればなるほど膨大な配線となっていて、応用の妨げになっていた。

0003

また、圧力センサとXY座標検出手段を組み合わせて、よく似た機能を検出するものに特許文献3~8が提案されているが、2枚以上の機能材料の組み合わせによって、圧力位置情報を検出しているので、押圧の位置情報を正確に検出できたときは、その位置での圧力情報が正確に検出することができなかった。逆に圧力情報が正確に検出できたときは、その位置情報が不正確になり、圧力と圧力の重心座標の両方が同時に正確に検出できない欠点があった。

0004

また、感圧導電性ゴムや圧電複合材料と抵抗体を組み合わせて、圧力座標を求めたものも提案されているが、どれも精度が出るものではなく、また圧力や、接触面積を求めたものではないため、圧力位置検出センサや触覚センサとしては不十分のものであった(例えば特許文献9~11) 。

特許文献1

特開平10-178688号公報

特許文献2

特公平7-58233号公報

特許文献3

特開昭59-178301号公報

特許文献4

特公昭60-35602号公報

特許文献5

特公昭61-32601号公報

特許文献6

特公昭60-37401号公報

特許文献7

特開昭61-208533号公報

特許文献8

特開平05-61592号公報

特許文献9

特開昭59-110595号公報

特許文献10

特開昭60-71194号公報

特許文献11

特開昭61-47501号公報

発明の開示

発明が解決しようとする課題
0005

近年ヒューマノイド型を初め、動物形状した数々のロボット装置が提供されているが、そのようなロボット装置には、外部からの接触による刺激入力により、リアルタイムに動作しなければならないものが多数ある。近年の2足歩行ロボットの歩行時の体のバランスをとるために足裏に圧力センサを取り付け、微妙なバランスの変化を事前にリアルタイムに検出し、制御することが行われている。また、手の指の触覚を検出するため、物を持ったときの圧力制御やもののすべり時の圧力変動の検出などリアルタイムの制御が必要とされていた。そのため、多数の圧力センサを配置して、並列処理で同時にセンサ情報を処理するなど行われているが、多数の圧力センサの配線が装置の邪魔になっていた。

0006

また、介護用いすやベッドなど人体の圧力が過度に偏っていれば、人体に不具合を生じさせることがあるが、介護を必要とする人にとっては、自らその状況を回避できない場合があり、床ずれ等の原因になっている。また、安全性が求められる自動車のいすに座る人の位置がずれれば、事故時、エアーバックを人の中心に正確に開かせることが困難となる。これらの用途では、圧力分布が正確にわからなくても、必要最低限の情報(圧力の重心位置、圧力接触面積、平均圧力量)をリアルタイムに検出でき、少ない配線で圧力位置検出できる触覚センサや圧力位置検出センサが求められている。

0007

本発明は、上記問題点に鑑み、押圧の変化をリアルタイムに検出しようとするものである。また、構成が簡単で、かつ少ない配線で押圧の変化を検出可能にし、信頼性の向上と、コストの低減を図ることができて、正確に情報を入手できるようにしたものである。

課題を解決するための手段

0008

この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、シート面に沿うX方向及びY方向に抵抗を有するシートであって、シートの厚み方向と一致するZ方向に抵抗を有すると共に厚み方向の押圧に対応してZ方向の抵抗が変化する感圧抵抗シートを備え、この感圧抵抗シートの周辺部に、前記X方向の抵抗又はY方向の抵抗の少なくとも一方に電流を流すための電極部が少なくとも一対設けられ、感圧抵抗シートの表面に、前記Z方向の抵抗に電流を流すための導電体が少なくとも一対設けられている点にある。

また、本発明の他の技術的手段は、前記電極部及び導電体のいずれか1つから電流を流し、残りの電極部又は導電体から電流を取り出すときに、前記少なくとも一対の電極部の電圧と、前記少なくとも一対の導電体の電圧との組み合わせから、接触圧と、X方向の接触位置又はY方向の接触位置の少なくとも一方の接触位置とを求めるようにした点にある。

0009

また、本発明の他の技術的手段は、前記電極部及び導電体のいずれか1つから電流を流し、残りの電極部又は導電体から電流を取り出すときに、前記少なくとも一対の電極部の電圧を触覚センサへの接触前と、触覚センサへの接触時との電圧差を、前記求めた接触圧と接触位置とに対応した値に補正して、X方向の接触長さ又はY方向の接触長さの少なくとも一方の接触長さを求めるようにした点にある。

なお、他の技術的手段として、前記感圧抵抗シートに、X方向に電流を流すための一対の第1電極部と、Y方向に電流を流すための一対の第2電極部とが具備され、感圧抵抗シートの4隅部に、第1電極と第2電極と第3電極と第4電極とがそれぞれ設けられ、前記一対の第1電極部のうちの一方の第1電極部が、第1電極と第3電極とで構成され、他方の第1電極部が、第2電極と第4電極とで構成され、前記一対の第2電極部のうちの一方の第2電極部が、第1電極と第2電極とで構成され、他方の第2電極部が、第3電極と第4電極とで構成され、前記各電極は、前記感圧抵抗シートに所定の圧力以上で圧接されて取り付けられており、かつ感圧抵抗シートの表面に、前記Z方向の抵抗に電流を流すための導電体が、スペーサにより所定の間隔で保持されているようにしてもよい。

0010

また、本発明の他の技術的手段は、シート面に沿う方向に抵抗を有するシートであって、シートの厚み方向に抵抗を有すると共に厚み方向の押圧に対応して厚み方向の抵抗が変化する感圧抵抗シートを備え、

感圧抵抗シートへの接触圧、接触位置、接触長さのうち少なくとも2つを求めるべく、感圧抵抗シートに電流を流すようにし、前記感圧抵抗シートは、数キロオームから数10メガオームの表面抵抗をもったカーボン入りポリエチレンフィルムで構成されている点にある。この場合、例えば、感圧抵抗シートに、そのシート面に沿う方向及び/又は厚み方向に電流を流すようにすればよい。

また、本発明の他の技術的手段は、前記感圧抵抗シートは、数キロオームから数10メガオームの表面抵抗をもったカーボン入りポリエチレンフィルムで構成されている点にある。

0011

また、本発明の他の技術的手段は、触覚センサが装着された被制御装置と、前記感圧抵抗シートに電位勾配を発生させる電源と、前記電極部及び前記一対の導電体の出力電圧をデジタル値に変換するA/D変換器とを備え、前記A/D変換器からのデジタル信号を入力して、前記触覚センサへの接触圧、接触位置、X方向及び/又はY方向の接触長さのうち少なくとも2つを求め、この求めた接触圧、接触位置、接触長さに基づいて前記被制御装置1を制御する制御部を備える点にある。

発明の効果

0012

本発明によれば、押圧に対する圧力分布を検出するのではなく、押圧の重心座標と圧力の値、及びその接触長さのみを検出することによって、押圧の変化をリアルタイムに検出することができる。

また、同一平面内でアナログ式座標検出装置とアナログ接触圧検出センサにより実現しているので、従来のデジタル的なX,Yマトリックスセンサに比較して、構成が簡単で、かつ少ない配線で検出が可能になり、信頼性の向上とコストを低減することができる。また、従来のアナログ式のものに比べても、同一平面内で検出できるため、正確に情報を入手できる。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。

図1及び図2は、本発明をロボット(被制御装置)1の足裏や手に応用した一実施の形態を示し、ユニット化した触覚センサ3を、ロボット1の骨格である足の裏や指または手のひらの関節に対応して装着している。本実施の形態では、図1に示すように、ロボット1の足の裏に触覚センサ3が2個装着され、図2に示すように、手の指に触覚センサ3が14個装着されると共に、手のひらと手の裏とにそれぞれ1個ずつ装着されている。これら触覚センサ3は、手や足裏の関節にあわせて、配置されているので、関節は自由に動作させることができ、その圧力の大きさ、及びその面積と圧力の重心位置をミリメータ以下の精度で、リアルタイムに求めることができる。触覚センサ3を足裏に装着すれば、歩行時の圧力の変化を、また手の指に装着すれば、物をつかんだときの圧力の変化、すべり等を検出することは容易である。さらに後述するように、触覚センサ3から取り出される信号線2は1つの触覚センサ3に対して、4~6本と少なく、取り出される配線が邪魔をして、ロボットハンドの握る、触る等の指の微妙な動作に支障を及ぼすことは少ない。

0014

次に、触覚センサ3の構造について、詳細に説明する。図3は、図1及び図2で示した足裏や指または手のひらの1つに配置された触覚センサ3を展開したものである(図2では、これを指にあわせて巻いたものを使用した)。図4は触覚センサ3を上面図と側面図とで模式的に表示したものである。図3及び図4において、前記触覚センサ3は、感圧抵抗シート4と、感圧抵抗シート4をその厚み方向の両側から挟むように配置した一対の導 電性フィルム(導電体)5,6とを備える。

感圧抵抗シート4は、シート面に沿うX方向及びY方向に抵抗を有するシートであって、シートの厚み方向と一致するZ方向に抵抗を有すると共に、厚み方向に感圧性を有し、厚み方向の押圧に対応してZ方向の抵抗が変化するようになっている。本実施の形態では、感圧抵抗シート4を、例えばポリエチレンにカーボンを混入させて10の4乗から10の8乗程度の表面抵抗を有するシートで構成している。

0015

10の4乗から10の8乗程度の表面抵抗を有するシートは、通常市販されているカーボン入りの100μmの厚みのポリエチレンフィルムで半導体ICや電子部品を搭載した基板を静電気から保護するための導電袋等に良く使われ、一般的に入手可能なものである。実施例では、10の4乗から10の8乗程度の表面抵抗を有するシートを使用したが、さまざまな用途で使われる感圧抵抗シートの形状は異なるから、電極間の抵抗も大きく異なる。実際の制御回路では、電極間の抵抗と感圧抵抗が制御手段やスイッチ手段の入力として、回路入力インピーダンスに影響しないよう最適に抵抗を設定することが望ましい。従って、さまざまな用途に合わせて、数キロオームから数十メガオームの表面抵抗まで使用することができる。しかし、これ以上の表面抵抗値では、X方向又はY方向の抵抗値が大きくなり、接触座標の検出が困難になり、また、これ以下の表面抵抗では、感圧特性が不十分で検出に支障がでる場合がある。

0016

感圧抵抗シート4の周辺部に、X方向に電流を流すための一対の第1電極部9、10と、Y方向に電流を流すための一対の第2電極部11,12とが設けられ、例えば、一対の第1電極部9、10は感圧抵抗シート4のX方向の抵抗に電流を流すための電極部とされ、一対の第2電極部9、10は感圧抵抗シート4のY方向の抵抗に電流を流すための電極部とされている。

そして、感圧抵抗シート4は方形状に形成され、この感圧抵抗シート4の4隅部に、第1電極Aと第2電極Bと第3電極Cと第4電極Dとがそれぞれ設けられ、前記一方の第1電極部9が、第1電極Aと第3電極Cとで構成され、他方の第1電極部10が、第2電極Bと第4電極Dとで構成され、前記一方の第2電極部11が、第1電極Aと第2電極Bとで構成され、他方の第2電極部12が、第3電極Cと第4電極Dとで構成されている。前記第1電極A、第2電極B、第3電極C及び第4電極Dは、例えば感圧抵抗シート4に銅箔を装着することにより構成されている。

0017

前記一対の導電性フィルム5,6は、感圧抵抗シート4の厚み方向に対応する一対の各表面にそれぞれ設けられ、例えば、感圧抵抗シート4のZ方向の抵抗に電流を流すための導電体(第3電極部)とされている。導電性フィルム5,6は、感圧抵抗シート4に向かっている面が導電性を有しているフィルムであり、PET(Poly Ethylene Terephthalate) 表面にアルミが蒸着されたアルミPETで構成してもよいし、PI(Poly Imide) に導電膜を張ったFPC(フレキシブルプリント基板)等で構成してもよい。この一対の導電性フィルム5,6は、感圧抵抗シート4に対応してそれぞれ方形状に形成され、導電性フィルム5,6は感圧抵抗シート4にZ方向に電流を流すための一対の第3電極部とされている。なお、一対の導電性フィルム5,6を一対の第3電極部とする場合、一対の導電性フィルム5,6に電源等からの配線を直接接続するようにしてもよいし、一対の導電性フィルム5,6に例えば銅箔を装着してなる電極を設け、この電極に電源等からの配線を接続するようにしてもよい。

0018

次に、感圧抵抗シート4を利用して、接触圧(感圧)検出と接触位置(位置座標)検出を行う原理について説明する。

感圧抵抗シート4は、厚み方向の押力に対して抵抗の変化を示し、たとえば、直径4mmの面積に1N(ニュートン)の荷重を感圧抵抗シート4にかけると、数十キロオームの抵抗を有していたものが、100Nの荷重では、数十オームの抵抗になる。これと同等の機能を有するものに、よく知られている感圧導電性ゴムがある。感圧導電性ゴムは、シリコーンゴムと金属またはカーボン粒子とを組み合わせた複合材料で、圧力の刺激に応じて 絶縁状態から導電状態へと抵抗変化を示す加圧導電性ゴムであり、加圧することによって、内部の金属粒子が接触するために導電性を有するものであり、厚み方向の機能に関しては、上記カーボンを混入させた本発明に使われる感圧抵抗シート4と同様である。しかし、感圧導電性ゴムは、液晶ガラスパネル上の電極と外部に接続するFFCケーブルを接続するために、シリコーンゴムフィルムの厚さ方向に金属粒子を配列させた異方導電性コネクタとしても使用されてきたように、絶縁性能の高いゴムと導電性の高い金属粒子により構成されているから、厚み方向への加圧に対しては、導電性を有するが、加圧周辺以外のX,Y平面に対しては、高い絶縁性能があり、従来は、前述したようにXY座標位置を検出するために、他の部品と組み合わせて実施されてきた。

0019

一方、本発明に使用されるカーボンを混入させたポリエチレンフィルム製の感圧抵抗シート4は、従来の感圧導電性ゴムに比較して、X,Y平面でも所定の抵抗性を有するものである。従って、X,Y平面でも所定の抵抗値が得られれば、感圧抵抗シート4としてゴムを基材に使用することも、また他の感圧材料を使用することに問題はない。

感圧抵抗シート4は、2枚の導電性フィルム5,6の導電面を接してはさまれているが、その間には、スペーサを介しており、押圧がかからないとき、2枚の導電フィルム5,6間は絶縁、もしくは、感圧抵抗シート4の厚み方向(Z方向)の抵抗値と比較して、2倍以上大きい抵抗を有するように設計することが望ましい。

0020

スペーサとして、数ミクロンから数10ミクロン厚のフィルムスペーサを左右両端に入れて間隙を作ってもよいし、タッチパネルや液晶のパネルに用いられる数ミクロンから数10ミクロンの球状の樹脂ビーズのマイクロスペーサを用いて間隙をつくってもよい。導電性フイルム5,6を押すことによって、その押圧位置で導電性フィルム5,6の導電面と感圧抵抗シート4が接触するように作られている。マイクロスペーサによって間隙を確保するとき、マイクロスペーサの分布密度によって、押圧に対する圧力検知開始感度が変わる。密度が大きいと、押圧が大きくなければ、感圧抵抗シート4と接触しない。また、密度が小さいと、少しの押圧で検知することができるので、用途に応じてマイクロスペーサの密度を選ぶことができる。もちろんこれらは、導電性フィルム5,6の厚み、剛性によっても影響されるので、圧力検出開始感度は、これら導電性フィルム5,6とマイクロスペーサの条件で決定する必要がある。

0021

さて、このように構成された触覚センサ3を使って、入力情報を検出する基本動作を説明すると、接触圧を検出する接触圧検出手段として、導電性フィルム5、感圧抵抗シート4、導電フィルム6を使う。導電性フィルム6の導電面と感圧抵抗シート4が接する面を触覚センサ領域とし、導電性フィルム5と導電性フィルム6が対峙した導電面と感圧抵抗シート4に接する面を触覚圧力センサ領域とする。従って、必ずしも導電性フィルム6の導電面積と導電性フィルム5の導電面積は同じものでなくてもよい。この一対の導電性フィルム5,6(一対の第3電極部)間に一定電流を流す。前述したように、導電性フィルム6を加圧することによって感圧抵抗シート4に圧力が加わり、Z方向の抵抗値が変化する。よって、一対の導電性フィルム5,6に流れる電流を一定にすれば、導電性フィルム5,6(第3電極部)間の電圧Vzから加圧力(接触圧)を求めることができる。即ち、 導電性フィルム5から電流を流し、導電性フィルム6から電流を取り出すときに、導電性フィルム5の電圧V5と導電性フィルム6の電圧V6との差(組み合わせ)から接触圧を求めることができる。

0022

次に、接触位置(接触によるX、Y座標)を検出する検出手段について説明する。感圧抵抗シート4の第1電極A及び第3電極C(第1電極部9)に、電圧Vxoを加え、第2電極B及び第4電極D(第1電極部10)をGNDとする。図5は点接蝕した場合の感圧抵抗シート4の等価回路を示しており、図5に示すように、導電性フィルム6のある座標位置を押さえると、導電性フィルム6の導電面は、感圧抵抗シート4に接触する。接触位 置を第2電極B及び第4電極D(第1電極部10)の位置からX方向にX1の距離の点Sが接触されたとすれば、導電性フィルム6(第3電極部)の電圧Vzxは、

Vzx= X1/ (X1+ X2) * Vxo

となる。

0023

ここで、X2は、第1電極A及び第3電極C(第1電極部9) の位置から接触点SまでのX方向の距離である。

従って、一対の第1電極部9,10間に電圧Vxoを印加して感圧抵抗シート4にX方向の電流を流したときに、一方の第1電極部9と、一方の導電性フィルム6との間の電圧Vzxを検出し、この検出した電圧Vzxと記印可電圧Vxoとの関係からX方向の接触位置を求めることができる。即ち、第1電極部9から電流を流し、第1電極部10から電流を取り出したときに、第1電極部9の電圧V9と、第1電極部10の電圧V10との差(組み合わせ)と、一方の第1電極部9の電圧V9と一方の導電性フィルム6の電圧V6との差(組み合わせ)とからX方向の接触位置を求めることができる。

0024

同様に、第1電極A及び第2電極B(第2電極部11)に、電圧Vyoを加え、第3電極C及び第4電極D(第2電極部12)をGNDとすると、

Xzy= Y1/(Y1+ Y2) * Vyo

となる。

ここで、Y1は、第3電極C及び第2電極D(第2電極部12) の位置から接触点SまでのY方向の距離であり、Y2は、第1電極A及び第2電極B(第2電極部11) の位置から接触点SまでのY方向の距離である。

0025

従って、一対の第2電極部11,12間に電圧Vyoを印加して感圧抵抗シート4にY方向の電流を流したときに、一方の第2電極部11と、一方の導電性フィルム6との間の電圧Vzyを検出し、この検出した電圧Vzyと前記印可電圧Vyoとの関係からY方向の接触位置を求めることができる。即ち、第2電極部11から電流を流し、第2電極部1 2から電流を取り出したときに、第2電極部11の電圧V11と、第2電極部12の電圧V12との差(組み合わせ)と、一方の第2電極部11の電圧V11と一方の導電性フィルム6の電圧V6との差(組み合わせ)とからY方向の接触位置を求めることができる。

0026

また、接触位置の導電フィルム6から感圧抵抗シート4の電極部に電流を流し、感圧抵抗シート4に配置された各電極部に流れる電流で検出するようにしても位置座標検出を求めることもできる。このとき、4隅に流れだす電流値は接触点との距離に反比例した電流が流れる。

図6~図8は面接蝕した場合の等価回路で、図6は面接触時のX方向及びY方向の抵抗の等価回路を示し、図7は面接触時におけるY方向の抵抗を省略してX方向の抵抗のみを取り出した場合の等価回路を示し、図8は面接触時におけるX方向の抵抗を省略してY方向の抵抗のみを取り出した場合の等価回路を示している。図6~8に示すように、図5の場合と同様に接触座標はVzx/Vxoの比、Vzy/Vyoの比で求めることができる。電圧XZXは、感圧抵抗Rx4と感圧抵抗Rx5の比率に対応した電圧であり、電圧XZYは、感圧抵抗Ty4と感圧抵抗Ry5の比率に対応した電圧であるから、導電フィルム6で検出される電圧V6は、接触面積の中心ではなく、押圧の圧力分布に比例した位置の電圧が出力されることになる。特に本発明では、同一平面内での位置座標と圧力情報を取り込むことができるので、正確に検出することができる。

0027

通常、接触面に面積を持っているときは、接触圧力情報のない接触座標位置の検出には、誤差が生じる。従来(例えば特許第3055448号)では、その解決のために接触面の大小による変化から正確な接触座標を求めているが、接触圧の分布情報が取り込まれていないために、たとえば、接触面の一端で接触圧が大きい場合など圧力情報が取り込まれていない接触した面積で補正を行うと、逆に接触の中心位置の誤差が大きくなる可能性がある。本発明では、1枚の感圧抵抗シート4により、同一平面内で押圧の分布に応じた比率で接触位置のX,Y座標を求めているので、より正確にX,Y座標を求めることができる利点がある。

0028

次に、接触周辺圧から接触長さを検出する手段として、感圧抵抗シート4、導電性フィルム6を使う。まず、接触加圧する前に感圧抵抗シート4の第1電極A及び第3電極C(一方の第1電極部9)と、第2電極B及び第4電極D(他方の第1電極部10) との間に、一定電流を加えて、一対の第1電極部9,10間の電圧Vxoを検出し、次に感圧抵抗シート4の第1電極A及び第2電極B(一方の第2電極部11) と、第3電極C及び第4電極D(他方の第2電極部12)との間に、一定電流を加えて、一対の第2電極部11,12間の電圧Vyoを検出する。導電フィルム6を介して感圧抵抗シート4のある位置にある面積を持って接触加圧すると、一対の第1電極部9,10及び一対の第2電極部11,12間に流す一定電流は、接触面では感圧抵抗シート4から導電性フィルム5,6に流れ、一対の第1電極部9,10間及び一対の第2電極部11,12間の電圧Xx,Vyは低下する。このX方向の変化量Vxo- Vxと、Y方向の変化量Vyo- Vyとを接触圧に対応した接触面積と定義できる。接触面が大きくなれば、導電性フィルム5,6を通過する電流は増加することになり、第1電極部9,10間の電圧Vx及び第2電極部11,12間の電圧Vyは低下する。

0029

これを、図5~図8の等価回路で説明すると、図5~図8は、導電性フィルム6及び感圧抵抗シート4に加圧されたときの各部の抵抗を表したものである。図5は点接触した場合の等価回路であり、接触による一対の第1電極部9,10間、または一対の第2電極部11,12間の抵抗の変化はない。

図6~図8は面接触した場合の等価回路で、実際は、接触面の各位置とその位置での感圧抵抗シート4の抵抗の分布で表されるが、図6~図8はそれを簡単モデル化した等価回路である。一対の第1電極部9,10間の電流は、図6及び図7に示すように、接触面以外の位置では感圧抵抗シート4の抵抗Rx1を流れ、接触面では加圧力が大きい接触面のエッジ部の位置座標で感圧抵抗Rx4を通して導電フィルム6に、感圧抵抗Rx40を通して導電フィルム5に流れ、加圧力が大きい接触面の他方のエッジ部の位置座標の感圧抵抗Rx5及び感圧抵抗Rx50を介して流れる電流と感圧抵抗シート4の感圧抵抗Rx3に流れる電流との総和が、感圧抵抗シート4の感圧抵抗Rx2に流れることになる。これらは、接触面のエッジ部の位置座標で感圧抵抗Rx4、感圧抵抗Rx40、感圧抵抗Rx5、感圧抵抗Rx50を通して導電フィルム5,6に流れているのであるから、検出される電圧変化量Vox-Vxは、単純に接触面積に比例するのではなく、接触圧接触の外周辺の圧力によっても影響される。これは、接触面積を検出するときの閾値を決めるものとなり、電極間で最も抵抗が小さくなるように電流が流れることでその値は決定される。

0030

また、図9は、接触位置が触覚センサ3の中心付近のときの電極A,Cと接触位置との間の等価抵抗を示し、図10は、接触位置が触覚センサ3の周辺付近のときの電極A,Cと接触位置との間の等価抵抗を示しているが、電極間で最も抵抗が小さくなるように電流が流れるので、図9及び図10に示すように、接触位置が電極を結ぶ最短距離から離れると、接触面積が同じでも、電極間の抵抗の変化が少なくなるので、接触座標により補正す る必要がある。

また、上述の接触長さは、電極部9,10,11,12で電流を流し、その変化を検出したが、導電体5、もしくは導電体6から電流を流し、電極部9,10,11,12でその電圧の変化を検出し、すでに検出された接触圧、接触座標を求める電圧の組み合わせから、接触長さを算出してもよい。

0031

本発明では、同一平面内で接触周辺の圧力を取り込むことができるので、検出される接触面積は精度の高い値を得ることができる。なお、接触面積が小さい場合は、図6~図8に示す感圧抵抗Rx3、感圧抵抗Ry3が小さいので、導電フィルム5,6に回りこむ電流は少なくなり、接触面積はより小さく検出されるが、これらは、単純に補正をおこなって利用してもよいし、先に検出された圧力値と組み合わせて、接触面にかかる荷重を補正してもよい。

前述では、圧力検出や座標検出時の電極構成が同じで、かつ制御方法も同じ方式にして、制御部27を共通に使って、スイッチ手段16により切り替えて、圧力検出し、X方向とY方向とを別々にして座標検出し、接触長さを求めてきたが、接触位置の導電フィルム6から感圧抵抗シート4の電極部9,10,11,12(電極A,B,C,D) に電流を流し、導電体5から電流を取り出すことによって、圧力検出を、感圧抵抗シート4に配置された各電極部9,10,11,12(電極A,B,C,D) に流れる電流で検出する制御方法で、一度にX方向、Y方向の位置座標を検出することもできる。

0032

また、前記実施の形態では、XY座標位置を求めるものであったが、用途によっては、センサの電極構成を簡単にして、X座標のみ、Y座標のみを求める構成であってもよい。要するに、シート面に沿う方向に抵抗を有するシートであって、シートの厚み方向に抵抗を有すると共に厚み方向の押圧に対応して厚み方向の抵抗が変化する感圧抵抗シート4を備え、感圧抵抗シート4への接触圧、接触位置、接触長さのうち少なくとも2つを求めるべく、感圧抵抗シート4に、そのシート面に沿う方向及び/又は厚み方向に電流を流すようにすればよい。

0033

次に、本発明の触覚センサの動作と触覚センサを使用したロボット1の制御について詳細に説明する。図11において、15は定電流電源、16はアナログのマルチプレクサを利用して構成したスイッチ手段で、切り替えスイッチSW1と切り替えスイッチSW2とを備え、図1又は図2にも示すように、スイッチ手段16は、触覚センサ3と後述する制御手段24との間に介在されている。切り替えスイッチSW1は、互いに連動して動く一対の可動接点 18,19を有し、定電流電源15を導電性フィルム5,6側に接続するか電極A,D側に接続するかを切り替えるようになっている。切り替えスイッチSW2は、電極Bを電極D又は電極Aに接続する可動接点21と、電極Cを電極A又は電極Dに接続する可動接点22とを有し、電流を電極A,C(第1電極部9) から電極B,D(第1電極部10) に流すか、電流を電極A,B(第2電極部11) から電極C,D(第1電極部12) へ流すかを切り替えるようになっている。

0034

23はスイッチ切り替え回路で、切り替えスイッチSW1,SW2を連動して切り替え動作させる。24は制御手段で、A/D変換器25と、CPUとメモリとを有する制御部27と、モータ駆動回路28とを有している。30はCPU等により構成した外部制御器である。31はロボット1の駆動モータで、図1に示すようにロボット1の足の膝部分や 足首部分に取り付けられ、駆動モータ31の駆動により、ロボット1の下脚部を前後揺動させたり、足を足首部分で前後揺動させるようになっている。また、駆動モータ31は、図2に示すように、前記手の指に装着した各触覚センサ3に対応して、手の指の関節部分に組み込まれ、駆動モータ31の駆動により手の指を関節部分で動かして、手を握ったり開いたりできるようになっている。

0035

触覚センサ3の制御は、まず、切り替えスイッチSW1の可動接点18,19を導電性フィルム5,6側に倒して、定電流電源15から導電性フィルム5,6に電流が流れるように設定する。通常、触覚センサ3に接触していないとき、スペーサ等によって導電性フィルム5,6間は絶縁されているので、導電性フィルム5,6間に電流を流すと、導電性フィルム5,6間に定電流電源15で設定される最大電圧Vmaxが発生する。そして、触覚センサ3に接触することによって、導電性フィルム5,6は感圧抵抗シート4を介して接続され、導電性フィルム5,6間に電圧VZが発生する。この電圧VZが所定の電圧以下になったときから、以下に述べる検出を開始する。

〔接触圧の検出〕

触覚センサ3への接触による押圧が増加するのに応じて、感圧抵抗シート4の抵抗が減少し、導電性フィルム5,6間の電圧Vzは変化するから、電圧Vzが所定の電圧Vzo以下になったときから、所定時間後、導電性フィルム6から電流を取り出すときに、導電性フィルム5の電圧V5と導電性フィルム6の電圧V6との差(組み合わせ)から接触圧を示す電圧Vzを検出し、制御手段24のA/D変換器25で変換したデータを制御部27に格納する。

〔接触座標の検出〕

次に、切り替えスイッチSW1の可動接点18,19を電極A,D側に倒して、電極A,D側に定電流電源15を接続する。この際、定電流電源15から電極A,C(第1電極部9) と電極B,D(第1電極部10)との間に定電流を流すように、切り替えスイッチSW2は、その可動接点21が電極D側に倒れて電極Bと電極Dとを接続すると共に、可動接点22が電極A側に倒れて電極Aと電極Cとを接続した状態になっており、第1電極部9から電流を流し、第1電極部10から電流を取り出したときに、第1電極部9の電圧V9と、第1電極部10の電圧V10との差(組み合わせ)である、第1電極部9,10間の電圧Voxを制御手段24に入力し、AD変換器25で変換してそのデータを制御部27に格納する。

0036

このとき、電流は感圧抵抗シート4をX方向に流れ、一方の第1電極部9の電圧V10と一方の導電性フィルム6の電圧V6との差(組み合わせ)とから、導電性フィルム5と電極B,D(第1電極部10)との間の電圧Vzxを検出して、同様に制御手段24のAD変換器25で変換してそのデータを制御部27に格納する。X方向の接触位置を示す接 触位置のX座標はVzx/Vozであるから、制御部27で計算し、X座標を求める。

0037

次に、切り替えスイッチSW2の可動接点21を電極A側に倒して電極Aと電極Bとを接続すると共に、可動接点22を電極D側に倒して電極Cと電極Dとを接続し、電極A,B(第2電極部11) と電極C,D(第2電極部12)との間に電流を流せば、電流は感圧抵抗シート4をY方向に流れ、同様に接触位置のY座標も、第2電極部11から電流を流し、第2電極部12から電流を取り出したときに、第2電極部11の電圧V11と、第2電極部12の電圧V12との差(組み合わせ)と、一方の第2電極部11の電圧V11と一方の導電性フィルム6の電圧V6との差(組み合わせ)とから、Y方向の接触位置を求すVzy/Voyを制御部27で計算し、そのデータをメモリに格納する。

〔接触圧に対する接触面積の検出〕

あらかじめ触覚センサ3に接触していないときの電極A,C(第1電極部9)と電極B,D(第1電極部10)との間の電圧をVoxmax、電極A,B(第2電極部11)と電極C,D(第2電極部12)との間の電圧V0maxを制御手段24のA/D変換器25でAD変換し、そのデータを制御部27に格納しておく。そして、X方向、Y方向の接触圧に対する接触面積をそれぞれV0max- Vox,Voymax- Voyで示すことができるから、これらデータを制御部27で計算し、そのデータをメモリに格納する。

〔外部CP U への転送とモータ制御〕

次に、制御部27のメモリに格納されたデータは、外部制御器30に転送されると同時に、外部制御器30からモータ駆動の指示があるまで、制御部27は、再度触覚センサ3の接触圧の検出、接触座標の検出、接触圧に対する接触長さ(面積)の検出の制御を実施するとともに、その変動が最小になるように各駆動モータ31を駆動制御する。そして、一対の第1電極部9、10間及び一対の第2電極部11,12間の電圧が所定の値以上になり、かつ一対の導電体5,6間の電圧が所定の値以上になったときに、前記制御部27による求めたデータの値を保持する制御を停止する。

上記実施の形態によれば、触覚センサ3のXY座標の位置にどれぐらい接触圧がかかっているかが、正確かつ迅速に検出でき、その入力情報に応じて、ロボット1の各指の駆動モータ31を動作させて、精密にかつ正確に状況に応じてフィードバックすることができる。たとえば、ロボット1と握手するときには、子供とは弱く、かつやわらかく、また、強く意思表示を行う必要なときは強く、また指の先まで制御して意志を正確に伝えることも可能となる。そのほかにもこれを足裏の圧力検出にも応用すれば、2足歩行時、バランスを崩したような場合、足の一部分の接触圧の変化が検出できるため、細かな制御によりロボット1のバランスを保つ用途に利用することも可能となる。

0038

図12及び図13は他の実施形態を示し、前記実施形態におけるスイッチ手段16の切り替えスイッチSW1,SW2に代えて、スッチ回路16に第1スイッチSW11と第2スイッチSW12と第3スイッチSW13と第4スイッチSW14とを設けている。第1スイッチSW11は、可動接点35を有し、定電圧電源15の高圧側に対して導電性フィルム5を接続又は切断するように構成されている。第2スイッチSW12は、可動接点36を有し、定電圧電源15のGND側に対して感圧抵抗シート4の第1電極Aを接続又は切断するように構成されている。第3スイッチSW13は、可動接点37を有し、定電圧電源15のGND側に対して導電性フィルム6を接続又は切断するように構成されている 。第4スイッチSW14は、前記切り替えスイッチSW2と同様に、電極Bを電極D又は電極Aに接続する可動接点21と、電極Cを電極A又は電極Dに接続する可動接点22とを有し、電流を電極A,C(第1電極部9)から電極B,D(第1電極部10) に流すか、電流を電極A,B(第2電極部11) から電極C,D(第1電極部12)へ流すかを切り替えるようになっている。また、導電性フィルム5,6、感圧抵抗シート4の電極A,B,C,Dを制御手段24のA/D変換器25に接続し、導電性フィルム5,6、感圧抵抗シート4の電極A,B,C,Dからの信号(電圧)をA/D変換器25に入力するようにしている。その他の点は前記実施の形態の場合と同様の構成である。

0039

この実施の形態の場合、制御手段24の制御部27により、スイッチ切り替え回路23を介して第1スイッチSW11~第4スイッチSW14を図13に示すように切り替える。即ち、図13では、左端部に第1スイッチSW11~第4スイッチSW14を切り替える順序が記載され、下側から順に1,2,3,4,5の順に切り替えられる。第1スイッチSW11の列の「1」は、定電圧電源15の高圧側に対して導電性フィルム5を接続した状態を示し、「0」は、定電圧電源15の高圧側に対して導電性フィルム5を切断した状態を示している。第2スイッチSW12の列の「1」は、定電圧電源15のGND側に対して感圧シート4の第1電極Aを接続した状態を示し、「0」は、定電圧電源のGND側に対して感圧シート4の第1電極Aを切断した状態を示している。第3スイッチSW13の列の「1」は、定電圧電源15のGND側に対して導電性フィルム6を接続した状態を示し、「0」は、定電圧電源15のGND側に対して導電性フィルム6を切断した状態を示している。第4スイッチSW14の列の「1」は、電流を電極A,C(第1電極部9 )から電極B,D(第1電極部10)に流すように切り替えた状態を示し、「0」は、電流を電極A,B(第2電極部11)から電極C,D(第1電極部12)へ流すように切り替えた状態を示している。

0040

制御部27の制御によって、スイッチ切り替え回路23を介して第1スイッチSW11~第4スイッチSW14が切り替え動作される。まず、第1スイッチSW11~第4スイッチSW14が、「1,1,1,1」の状態になって、前記実施の形態の場合と同様にZ座標の押圧検出が行われ、次に第1スイッチSW11~第4スイッチSW14が、「1,1,0,1」の状態に切り替わって、前記実施の形態の場合と同様に接触面積の検出が行われる。次に、第1スイッチSW11~第4スイッチSW14が、「1,0,0,1」の状態に切り替わった後、さらに「1,0,0,1」の状態に切り替わり、前記実施の形態の場合と同様にY座標検出が行われ、最後に、第1スイッチSW11~第4スイッチSW14が、「0,0,0,0」の状態に切り替わり、前記実施の形態の場合と同様にX座標検出が行われる。

0041

従って、この実施の形態の場合も、前記実施の形態の場合と同様に、触覚センサ3のXY座標の位置にどれぐらい接触圧がかかっているかが、正確かつ迅速に検出でき、その入力情報に応じて、ロボット1の各指の駆動モータ31を動作させて、精密にかつ正確に状況に応じてフィードバックすることができる。

なお、前記実施の形態では、スイッチ手段16により、導電フィルム5,6に電流を流し、圧力検出を行う場合と、電極部9,10,11,12に電流を流し、接触座標を求める場合とで制御を切り替えてきたが、圧力検出及び接触座標を求める方法は、前記実施の形態の場合に限定されず、例えば、導電フィルム6に電源15を接続して、図14に示すように、導電フィルム6から電流を流し、感圧抵抗シート4の電極部9,10,11,12と、接触位置の導電フィルム5とから電流を同時に取り出すことによって、導電フィルム5の電圧V5と導電フィルム6電圧V6とから圧力検出し、導電フィルム6の電圧V6及び電極A,Cの電圧VA,VCから、式〔(V6- VA) /(V6- VC)〕を用いて、X方向の接触位置を求めると共に、導電フィルム6の電圧V6及び電極B,Dの電圧VB,VDから、式〔(V6- VB) / (V6- VD) 〕を用いて、Y方向の接触位置を求めるようにしてもよい。従って、各電極部9,10,11,12(各電極A,B,C,D)の電圧と導電フィルム5,6の電圧を組み合わせることによって、スイッチ手段を必要とせず、圧力検出、位置座標検出、接触長さを求めることもできる。

0042

また、前記実施の形態では、原理をわかりやすく説明するために直流の定電流源を印加しているが、定電圧源と抵抗を利用し、簡易な定電流源を実現してもよい。また所定の周波数成分の信号のみを取り出すことによってノイズ成分を低減する方法のために交流電源を用いることも可能である。

なお、前記実施の形態では、感圧抵抗シート4は方形状に形成されているが、感圧抵抗シート4の形状はこれに限定されず、円形その他の形状にすることも可能である。また、感圧抵抗シート4の形状に対応して、一対の導電性フィルム5,6を円形その他の形状にするようにしてもよい。また、感圧抵抗シート4の4隅部に、第1電極Aと第2電極Bと第3電極Cと第4電極Dとをそれぞれ設け、これら電極A,B,C,Dによって、第1電極部9と第1電極部10と第2電極部11と第2電極部12とを構成する場合でも、感圧抵抗シート4は方形状限定されず、例えば感圧抵抗シート4の4辺が弓形に凹んだ四角形状や、4辺が弓形に膨出した形状その他の形状のものであってもよい。

0043

また、前記実施に形態では、感圧抵抗シート4の表面に設けたZ方向の抵抗に電流を流すための導電体として、感圧抵抗シート4を厚み方向の両側から挟むように配置した一対の導電性フィルム5,6を使用しているが、これに代え、感圧抵抗シート4を両側から挟む一対の導電体を、薄い銅板その他で構成するようにしてもよい。また、感圧抵抗シート4のZ方向の抵抗に電流を流すための導電体を、感圧抵抗シート4の厚み方向両側の表面に3個以上設けるようにしてもよい。

また、前記実施の形態では、導電性フィルム5から電流を流し、導電性フィルム6から電流を取り出すときに、導電性フィルム5の電圧V5と導電性フィルム6の電圧V6との差(組み合わせ)から接触圧を求め、第1電極部9から電流を流し、第1電極部10から電流を取り出したときに、第1電極部9の電圧V9と、第1電極部10の電圧V10との差(組み合わせ)と、一方の第1電極部9の電圧V9と一方の導電性フィルム6の電圧V6との差(組み合わせ)とからX方向の接触位置を求め、また、第2電極部11から電流を流し、第2電極部12から電流を取り出したときに、第2電極部11の電圧V11と、第2電極部12の電圧V12との差(組み合わせ)と、一方の第2電極部11の電圧V1 1と一方の導電性フィルム6の電圧V6との差(組み合わせ)とからY方向の接触位置を求めているが、接触圧、X方向の接触位置、Y方向の接触位置の求め方はこれらに限定されず、例えば、前記実施の場合とは逆に、導電性フィルム6から電流を流し、導電性フィルム5から電流を取り出すときに、導電性フィルム6の電圧V6と導電性フィルム5の電圧V5との差(組み合わせ)から接触圧を求めるようにしてもよいことは勿論であるし、また、第1電極部10から電流を流し、第1電極部9から電流を取り出したときに、第1電極部10の電圧V10と、第1電極部9の電圧V9との差(組み合わせ)と、第1電極部10の電圧V10と導電性フィルム5の電圧V5との差(組み合わせ)とからX方向の接触位置を求めるようにしてもよいことは勿論であるし、また、第2電極部12から電流を流し、第2電極部11から電流を取り出したときに、第2電極部12の電圧V12と、第2電極部11の電圧V11との差(組み合わせ)と、第2電極部12の電圧V12と導電性フィルム5の電圧V5との差(組み合わせ)とからY方向の接触位置を求めるようにしてもよいことは勿論である。また、図14の実施の形態の場合、導電フィルム6から電流を流し、感圧抵抗シート4の電極部9,10,11,12と、接触位置の導電フィルム5とから電流を同時に取り出すことによって、圧力検出し、接触座標位置を求めるようにしているが、これに代え、導電フィルム5から電流を流し、感圧抵抗シート4の電極部9,10,11,12と、導電フィルム6とから電流を同時に取り出すことによって、圧力検出し、接触座標位置を求めるようにしてもよい。さらに、X方向の接触位置とY方向の接触位置との両方の接触位置を検出する必要は必ずしもなく、いずれか一方の接触位置を検出すればよいことから、接触圧、接触位置の求め方は、要するに、電極部9,10,11,12及び導電体5,6のいずれか1つから電流を流し、残りの電極部9,10,11,12又は導電体5,6から電流を取り出すときに、前記少なくとも一対の電極部9,10,11,12の電圧V9,V10,V11,V12と、前記少なくとも一対の導電体5,6の電圧V5,V6との組み合わせから、接触圧と、X方向の接触位置又はY方向の接触位置の少なくとも一方の接触位置とを求めるようにすればよい。

0044

また、前記実施の形態では、接触圧を求める接触圧検出をなし、X方向の接触位置を求める接触位置検出をなし、Y方向の接触位置を求める接触位置検出をなし、X方向の接触長さを求める接触長さ(面積)検出をなし、Y方向の接触長さを求める接触長さ(面積)検出をなしているが、必ずしもこれらの5種類の検出を全部なす必要はなく、必要に応じて、1又は複数種の検出を省略することができ、例えば、接触圧を求める接触圧検出とX方向の接触位置を求める接触位置検出との2つをなすようにしてもよいし、接触圧を求める接触圧検出とY方向の接触位置を求める接触位置検出との2つをなすようにしてもよいし、接触圧を求める接触圧検出とX方向の接触長さを求める接触長さ(面積)検出との2つをなすようにしてもよいし、接触圧を求める接触圧検出とY方向の接触長さを求める接触長さ(面積)検出との2つをなすようにしてもよい。また、X方向の接触位置を求める接触位置検出とX方向の接触長さを求める接触長さ(面積)検出との2つをなすようにしてもよいし、X方向の接触位置を求める接触位置検出とY方向の接触長さを求める接触長さ(面積)検出との2つをなすようにしてもよいし、Y方向の接触位置を求める接触位置検出とX方向の接触長さを求める接触長さ(面積)検出との2つをなし、又はY方向の接触位置を求める接触位置検出とY方向の接触長さを求める接触長さ(面積)検出との2つ をなすようにしてもよい。

0045

また、前記実施の形態では、感圧抵抗シート4の4隅部に、第1電極Aと第2電極Bと第3電極Cと第4電極Dとをそれぞれ設け、これら電極A,B,C,Dにより、感圧抵抗シート4にX方向に電流を流すための一対の第1電極部9,10と、感圧抵抗シート4にY方向に電流を流すための一対の第2電極部11,12とを構成しているが、感圧抵抗シート4にX方向に電流を流すための一対の第1電極部9,10及び感圧抵抗シート4にY方向に電流を流すための一対の第2電極部11,12はこのような構成のものに限定されず、例えば、一対の第1電極部9,10又は一対の第2電極部11,12を、それぞれ1個又は3個以上のドット電極により構成するようにすることも可能である。また、前記実施の形態では、第1電極部9,10及び第2電極部11,12の構造として、従来タッチパネルの検出方法に用いられる5線式制御方法と同様にしているが、電極構造を変えることにより、5線式以上の7線式、8線式の制御方法をとることもできる。

0046

また、前記実施の形態における図11又は図12に示す触覚センサ応用装置では、説明の簡略化のため、ロボット(被制御装置)1に装着した複数枚の触覚センサ3のうち1枚の触覚センサ3の検出出力に基づいてロボット1のモータ駆動回路28を駆動制御するようにしているが、これに代え、複数枚の触覚センサ3の検出出力に基づいてロボット1の1又は複数のモータ駆動回路28等を駆動制御し、これにより、複数枚の触覚センサ3の複合した検出出力に基づいてロボット1を制御するようにしてもよい。また、逆に、ロボット(被制御装置)1に1枚の触覚センサ3のみを装着し、この1枚の触覚センサ3の検出出力に基づいてロボット1のモータ駆動回路28を駆動制御するようにしてもよい。

0047

また、前記実施の形態では、触覚センサ3を使用した触覚センサ応用装置として、ロボット1を駆動制御するようにしているが、触覚センサ3を使用した触覚センサ応用装置としては、ロボット1の駆動制御に限定されず、例えば、介護用いすやベッド或いはエアーバック装置等を被制御装置とし、これらを触覚センサ3の検出出力に基づいて制御するようにしてもよい。

産業上の利用可能性

0048

ロボット用触覚センサ装置やいすやベッドにかかる圧力を検出して制御する装置として利用することができる。

図面の簡単な説明

0049
図1

本発明の一実施の形態を示すロボットの下脚部分の斜視図である。

図2

同ロボットの手の部分の斜視図である。

図3

同触覚センサの分解斜視図である。

図4

同触覚センサの接触面積検出の一例を示す概念図である。

図5

同触覚センサへの点接触時の感圧抵抗シートの等価回路である。

図6

同触覚センサへの面接触時の感圧抵抗シートの等価回路である。

図7

同触覚センサへの面接触時の感圧抵抗シートのX方向の等価回路である。

図8

同触覚センサへの面接触時の感圧抵抗シートのY方向の等価回路である。

図9

同触覚センサへの接触位置が中心付近の場合の等価回路である。

図10

同触覚センサへの接触位置が周辺付近の場合の等価回路である。

図11

同触覚センサ応用装置の回路図である。

図12

他の実施形態を示す触覚センサ応用装置の回路図である。

図13

同切り替えスイッチの切り替えの順序を示す図である。

図14

圧力検出等の他の方法を示すための感圧抵抗シートの等価回路である。

符号の説明

0050

1 ロボット(被制御装置)

3 触覚センサ

4 感圧抵抗シート

5 導電性フィルム(導電体)

6 導電性フィルム(導電体)

9 第1電極部

10 第1電極部

11 第2電極部

12 第2電極部

27 制御部

30 外部の制御器

要約

課題

押圧の変化をリアルタイムに検出しようとする。また、構成が簡単で、かつ少ない配線で押圧の変化を検出可能にし、信頼性の向上と、コストの低減を図ることができて、正確に情報を入手できるようにする。

解決手段

シート面に沿うX方向及びY方向に抵抗を有するシートであって、シートの厚み方向と一致するZ方向に抵抗を有すると共に厚み方向の押圧に対応してZ方向の抵抗が変化する感圧抵抗シート4を備え、この感圧抵抗シート4の周辺部に、前記X方向の抵抗又はY方向の抵抗の少なくとも一方に電流を流すための電極部9,10,11,12が少なくとも一対設けられ、感圧抵抗シート4の表面に、前記Z方向の抵抗に電流を流すための導電体5,6が少なくとも一対設けられている。

選択図

図3


参考文献
特公昭60-035604(JP,B1)
特許第3055448(JP,B2)
特開昭61-208533(JP,A)
特開昭61-047501(JP,A)

調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G01L5/00101
G01L1/20